NTTへの就職・転職は、「NTTグループに入る」という括りでは決められません。日本電信電話株式会社は2025年7月1日にNTT株式会社へ商号を変更しました。現在のNTT株式会社は持株会社で、電気通信サービスを直接提供する会社ではありません。NTTドコモやNTTデータの仕事を希望するなら、それぞれの会社の募集を選ぶ必要があります。
一方、NTT R&Dは持株会社であるNTT株式会社に所属します。この記事で比べる経験者向け2求人は、いずれもNTT R&Dの正社員募集です。ブランド名ではなく、雇用主と研究成果の種類をそろえて判断します。
NTT株式会社への入口は、グループ採用情報の中でもNTT R&D
NTTグループの採用情報には、NTT R&D、NTTデータ、NTTドコモ、NTT東日本などが別々に並びます。これは一つの雇用主による一括採用ではなく、各社の採用先を案内する入口です。NTTドコモビジネスのようにNTTドコモグループとして採用する例もありますが、その範囲をNTT株式会社やNTTデータまで広げません。新卒採用の案内と、この記事で扱うNTT R&Dの経験者採用も同じ区分ではありません。
| 確認する名前 | 就職・転職時の意味 | 混同すると起きること |
|---|---|---|
| NTT株式会社 | 持株会社。NTT R&Dの所属先 | グループの通信サービス運営をすべて担当すると誤認する |
| NTT R&D | NTT株式会社内で研究から事業会社と連携した実用化まで担う | 研究職と通信サービスの運用職を同じ仕事として比べる |
| NTTドコモ・NTTデータなど | 別会社の採用先 | 給与、配属、勤務地をNTT株式会社の条件として読む |
NTT株式会社の普通株式は東証プライム、証券コード9432です。上場会社として開示されるNTT株式会社の人員・給与と、連結グループ全体の人員は分けて扱います。上場区分は法人確認の材料であり、入社後の配属や処遇を決める材料ではありません。
AIエージェントか光・無線かで、提出する実績が変わる
| NTT R&Dの経験者求人 | 雇用形態・試用期間・勤務地 | 年収レンジ | 必須要件の芯 |
|---|---|---|---|
| AIエージェント同士の連携に関するリサーチエンジニア | 正社員・試用期間なし・武蔵野研究開発センタ | 580万〜1,010万円 | LLM・機械学習・深層学習の研究、主にPythonでの検証実装、英語論文読解、組織内外との連携 |
| 光を応用した無線信号処理技術の研究開発エンジニア | 正社員・試用期間なし・横須賀研究開発センタ | 780万〜1,170万円 | 無線通信または光デバイス・光通信の経験、特許出願と査読付き論文投稿、MATLABなどの数値処理 |
AIエージェント求人は、複数のLLMやAIを連携させる推論技術を研究し、アルゴリズムの成果創出と実フィールドでの検証まで進める仕事です。選考書類ではモデルを使った経験だけでなく、研究課題、検証コード、評価結果、対外発表、サービス化のどこまで担ったかを示す必要があります。
光・無線求人は、光アナログ信号処理を使う高周波数帯の無線ビーム制御などが対象です。技術動向の予測、新技術の考案、権利化、シミュレーションと実験、若手研究員の指導まで含まれます。通信インフラの運用経験だけでは必須要件を満たすとは限らず、特許と査読付き論文の実績が選考の分岐になります。
どちらも応募方法では3年以上の職務経歴を求めています。職種名に「研究」があることだけを見て、新卒・第二新卒向けの入口とみなすのは避けます。
平均1,056万2,434円と二つの求人レンジは、同じ数字ではない
2026年3月期のNTT株式会社の提出会社平均年間給与は10,562,434円で、基準内給与、基準外給与、賞与を含みます。同じ表にある提出会社従業員数2,606人は期末の就業人員ですが、平均給与の実集計人数として開示された数字ではありません。連結従業員344,196人の平均でも、NTTドコモやNTTデータだけの平均でもありません。
| 給与情報 | 対象 | 応募時の使い方 |
|---|---|---|
| 平均年間給与10,562,434円 | NTT株式会社の提出会社平均。実集計人数は非開示 | 会社単体の人員構成を見る補助値。入社時提示額にはしない |
| 580万〜1,010万円 | AIエージェントの特定求人 | 研究経験と職責に対する募集レンジとして読む |
| 780万〜1,170万円 | 光・無線の特定求人 | 特許・論文・技術主導を含む募集レンジとして読む |
両求人は賞与年2回とし、初年度の具体額は選考を通じて決めるとしています。ただし、年収レンジに賞与や各手当をどう織り込むかの内訳までは示していません。応募時は、基本給、賞与の算定、裁量研究開発手当、住宅補助費などを分けて確認します。
勤務地より先に、フレックスか裁量労働かを確かめる
2求人の勤務時間は、主にスーパーフレックスタイム制または裁量労働制です。スーパーフレックスは最低勤務時間3時間、基準労働時間7.5時間。裁量労働制はみなし労働時間7.5時間です。どちらが適用されるかを候補者が自由に選べるとは書かれていません。
リモートワークを推進する記載もありますが、武蔵野・横須賀の研究拠点へ出社しない働き方の保証ではありません。実験設備を使う頻度、チームの出社日、配属時の勤務制度、勤務地変更の範囲は、研究テーマごとの条件として確認します。
AI研究はソフトバンクのLTM基盤モデル求人と成果物で比べる
| 比較する求人 | 雇用主・雇用形態 | 主な成果 | 給与・場所 |
|---|---|---|---|
| NTT R&D AIエージェント連携 | NTT株式会社・正社員 | 複数AIの推論研究、研究成果、実フィールド検証 | 580万〜1,010万円・武蔵野 |
| 通信業界特化型LTM基盤モデル開発 | ソフトバンク株式会社・正社員 | 継続事前学習、ファインチューニング、評価パイプライン、通信業務への実装 | 想定理論年収679.1万〜1,587.65万円・東京、リモート可 |
複数エージェントの連携原理を研究し、学会発表とフィールド検証を往復したいならNTT R&Dが近い選択です。通信データを使う基盤モデルの学習・評価を主導し、ネットワーク運用へ組み込みたいならソフトバンクの役割が比較対象になります。
給与額だけの順位付けはできません。NTT側は年収レンジと賞与年2回を掲げる一方、ソフトバンク側は月給、賞与、特別加算賞与を足した想定理論年収で、一般職の時間外30時間相当を使う試算です。計算条件が異なります。
論文・特許と実フィールドの往復を続けたい人に合う
NTT株式会社を候補に残しやすいのは、研究テーマを自分で定義し、コードや実験で検証し、論文・特許などの外部成果と社会実装の両方へつなげたい人です。AI求人なら研究内容とPython実装、光・無線求人なら技術領域と知財・論文実績を、応募要件へ直接対応させられます。
商用運用の担当や完全在宅を先に求めるなら保留する
携帯サービスの企画・運用、法人システムの受託開発、地域通信設備の構築を担当したい人は、NTT株式会社ではなく事業会社側の求人も比べる必要があります。完全在宅、適用される勤務制度、初年度年収の内訳を応募前に確定したい人も、今回の2求人の記載だけでは決め切れません。
面接前に四つの境界を質問へ変える
- 雇用主と所属研究所はNTT株式会社のどの組織か。グループ会社への出向や異動は想定されるか
- 入社後1年で求める成果は、論文、特許、試作、実フィールド検証、事業会社への移管のどれか
- スーパーフレックスと裁量労働制のどちらが適用され、研究拠点への出社は週・月に何回必要か
- 提示年収の基本給、賞与、手当の内訳と、求人レンジ内の職責はどう対応するか
応募先名、成果物、勤務制度、給与内訳の四つを埋めてから、「NTTグループ」という一語ではなく個別求人を選びます。
