メルカリのエンジニア転職は、「フリマアプリを作りたい」だけでは応募先を選び切れません。今回比べる二つの正社員求人は、どちらも雇用主が株式会社メルカリで、六本木を拠点とするハイブリッド勤務です。ただし、一方は通知やユーザー設定を支えるバックエンド、もう一方は社内の開発チームが使うKubernetes基盤を担います。
個別求人には給与額がありません。会社全体の平均年間給与や、共通募集要項にある月給例を当てはめず、担当基盤、オンコール、必須経験、英語要件から候補を絞るのが先です。
通知・ユーザー設定を作るか、GKEとTerraformを全社へ提供するか
Foundation Backendは、通知、ユーザー属性、メディアなど、メルカリの多くの機能が依存するサービスをGoとGoogle Cloud上で開発・運用する求人です。機能開発だけでなく、社内チームやカスタマーサポートから届く問い合わせの調査、運用負荷の削減、大規模データ移行、オンコールでの障害対応まで含みます。
Senior Platform Infrastructure Engineerは、GKEクラスタとTerraformによるInfrastructure as Codeを社内向けマネージドサービスとして提供する仕事です。クラスタ更新、容量計画、共有モジュールの移行、セルフサービス用の開発キット、インシデント対応までを持ちます。アプリケーションの一機能より、複数の開発チームが安全にリリースできる共通基盤へ責任を持つ求人です。
| 比較軸 | Foundation Backend | Senior Platform Infrastructure |
|---|---|---|
| 中心となる対象 | 通知・ユーザー属性・メディアのバックエンドサービス | GKE、Terraform、社内向けセルフサービス基盤 |
| 主な仕事 | Goでの開発・保守・運用、問い合わせ対応、データ移行、運用改善 | クラスタ運用、IaC、容量計画、開発キット、全社横断の基盤改善 |
| 必須経験の核 | バックエンド、Webサービス・API、SQL、クラウド上のコンテナ運用 | 本番Kubernetes、Terraform、大規模分散システム、基盤の一気通貫の所有 |
| オンコール | オンボーディング後に参加 | 立ち上がり後に参加 |
| 言語要件 | 英語CEFR B2。日本語は歓迎だが必須ではない | 英語CEFR B2。日本語は必須ではない |
| 勤務地・働き方 | 六本木、ハイブリッド、コアタイムなしのフルフレックス | 六本木、ハイブリッド、コアタイムなしのフルフレックス |
バックエンド職は、Goの実務経験を必須とはしていません。他のサーバーサイド言語で十分な経験があり、Goを学べることも応募条件に含まれます。ただし、オンコールとカスタマーサポート対応を含む運用経験は必須です。新規機能の実装だけを続けたい人より、障害対応や問い合わせから再発防止まで持てる人に近い求人です。
基盤職は「Senior」の名に対応して、本番規模のKubernetes内部、Terraformの共有モジュール、大きな影響範囲を持つ移行を任せられる経験が求められます。GKEを使ったことがあるだけでは足りません。設計、構築、オンコール、障害後の改善まで、自分が所有した基盤を説明できるかが分かれ目です。
求人年収は非公開で、月30万円は給与下限ではない
二つの求人は正社員であることを明記していますが、職種別の月給や年収は掲載していません。共通募集要項には「月給30万円の場合」という計算例があります。内訳は基本給221,965円と、月45時間分の固定時間外手当78,035円です。これは例示額であり、二求人の下限、標準提示額、共通レンジではありません。
| 公開条件 | 二つの個別求人 | 正社員の共通募集要項 |
|---|---|---|
| 雇用主 | 株式会社メルカリ | 株式会社メルカリ |
| 雇用形態 | 正社員 | 期間の定めなし。試用期間3か月(会社判断で延長の場合あり) |
| 職種別給与 | 情報なし | 情報なし |
| 給与の記載 | 金額の記載なし | 月給30万円の場合の計算例。実際の下限ではない |
| 固定時間外手当 | 個別金額の記載なし | 例示では月78,035円、45時間分 |
| 45時間を超えた分 | 個別ページに記載なし | 原則は別途支給。管理監督者には別の扱いを明記 |
管理監督者に該当する場合、共通条件は、22時から翌5時までの深夜労働に対する手当の合計が固定時間外手当を上回るときに差額を支給する扱いを示しています。Seniorという求人名だけで管理監督者とは決まりません。オファー時には、月給の内訳、固定時間外手当の金額、管理監督者該当性、超過分の計算を一つずつ書面で見ます。
平均年間給与1,176万3,840円は株式会社メルカリ全体の平均
2025年6月期の平均年間給与は11,763,840円です。対象は提出会社である株式会社メルカリの従業員で、賞与と基準外賃金を含みます。Foundation BackendやPlatform Infrastructureだけの平均でも、中途入社時の提示額でもありません。
| 提出会社データ | 2025年6月30日時点 | 転職判断での読み方 |
|---|---|---|
| 平均年間給与 | 11,763,840円 | 株式会社メルカリの在籍者平均。個別求人の提示額ではない |
| 従業員数 | 1,543人 | 提出会社の就業人員。臨時雇用者の年間平均339人は外数 |
| 平均年齢 | 36.3歳 | エンジニアや中途入社者だけの値ではない |
| 平均勤続年数 | 3.8年 | 今回の二部署だけの定着年数ではない |
| 連結従業員数 | 2,159人 | 国内子会社や米国法人などを含み、平均年間給与の母集団とは別 |
連結の報告セグメントはJapan RegionとUSです。Japan RegionではMarketplaceとFintechの二つの事業領域が説明されています。Foundation Backendは求人名にMercari Marketplaceとあります。一方、Senior Platform InfrastructureはMercariの各開発チームが使う全社横断の基盤を担当し、Marketplaceへの配属とは書かれていません。メルペイやメルコインの求人は、共通募集要項上、株式会社メルカリと雇用契約を結び、各社へ出向する形が示されています。サービス名だけで雇用主と配属法人を推測せず、個別ページの会社・事業名を見ます。
楽天市場のバックエンドとは、技術と勤務条件で選び分ける
マーケットプレイスのバックエンドという点では、楽天市場のR-Backoffice課が比較先になります。こちらはJavaとSpring BootによるWeb・バッチ開発、REST API、大規模オンラインシステムの運用・障害対応を扱います。Java/Spring BootとREST APIは、それぞれ5年以上の経験が必須です。
| 比較軸 | メルカリ Foundation Backend | 楽天市場 R-Backoffice |
|---|---|---|
| 組織・対象 | 株式会社メルカリ。通知、ユーザー設定、メディアの共通サービス | 楽天グループ株式会社のEC開発部門。楽天市場のバックオフィス |
| 主な技術・経験 | Goを推奨。API、SQL、クラウド、コンテナ、オンコール運用 | Java/Spring BootとREST APIを各5年以上。DB、CI/CD、Docker、Kubernetes |
| 個別求人の給与 | 情報なし | 情報なし |
| 雇用形態 | 正社員 | 個別求人ページには情報なし |
| 働き方 | 六本木のハイブリッド、フルフレックス | 東京。個別求人ページには勤務制度の情報なし |
| 英語 | CEFR B2。日本語は必須ではない | TOEIC800点以上または同等。求人上は英語が流暢レベル |
GoとGCP上の共通サービスを開発し、問い合わせやオンコールを通じてプロダクト基盤を改善したいならメルカリが近い選択です。Java/Spring Bootで要件定義からデプロイ、性能改善、障害対応までを一貫して担い、楽天市場の業務基盤に深く入るなら楽天側が合います。
給与だけでは選べません。楽天の正社員共通条件にある月給283,000円以上も、R-Backoffice求人固有のレンジではなく、個別ページは雇用形態を明示していません。両社とも、職務を先に比べ、実際の雇用区分と提示額は選考で確定させます。
運用まで持つエンジニアには向くが、給与公開を優先する人には向かない
メルカリを候補に残しやすいのは、開発と運用を分けず、利用者や社内開発者への影響まで見て改善したい人です。Foundation Backendなら、アプリケーション、問い合わせ、オンコールを横断する経験が生きます。Platform Infrastructureなら、KubernetesとTerraformを全社共通基盤として設計・運用した実績が必要です。
一方、オンコールを避けたい人、英語での業務を望まない人、応募前に職種別年収を確定したい人には、今回の二求人は向きません。ハイブリッド勤務の具体的な出社頻度も個別ページにはありません。フルフレックスをフルリモートと読み替えず、チームの出社条件を確かめる必要があります。
応募前に決めるのは、基盤の利用者と責任範囲
| 確認する欄 | 選考で具体化する内容 |
|---|---|
| 利用者 | 一般利用者向けの共通サービスか、社内の開発チーム向け基盤か |
| 運用責任 | オンコールの頻度、一次対応の範囲、問い合わせ対応との分担 |
| 給与 | 月給、固定時間外手当、インセンティブ、株式報酬を含む提示総額 |
| 等級 | Seniorの評価基準と、管理監督者に該当するか |
| 勤務場所 | 出社頻度、在宅勤務できる範囲、障害時の対応場所 |
応募書類では、技術名を並べるだけでなく、どの基盤を誰に提供し、障害時にどこまで責任を持ち、再発をどう減らしたかを示します。比較先を広げるなら、インターネット・Webサービス業界の仕事の分かれ方に沿って、利用者、担当サービス、開発と運用の境界をそろえましょう。
